――オリジナルの清掃道具ですか?

【下平】はい。これが意外に効果がありました(笑)。これまで店内を掃除していたブラシはかなり大きかったのですが、大きいとかえってブラシ自体の汚れが目立つので、「オシャリーナ」という市販の小さなホウキをマクドナルド用にアレンジしてもらい、昨年の5月から7月にかけて全店舗に配布しました。業者の方に協力していただいて、道具の使い方の講習会も行っています。

あとは、手拭き用のふきんと洗浄液のスプレーを入れた小さなポーチを持った店員が常にテーブルなどを清掃しています。清掃だけでなく、お客様とコミュニケーションを取ることもあります。こうしたきめ細かい対応で、店の清潔さのスコアは順調に上がっていると感じています。

床の清掃用にマクドナルドオリジナルの清掃道具を開発したほか、肩掛けのポーチにふきんや洗浄液を入れて常備。客席にいる店員はポーチを身につけ、汚れに気付いたらすぐに清掃するようにした。

「スマイル0円」の復活

――では、QSCの「Service」の面についてはいかがでしょう?

【下平】店員のマニュアルの改善を行いました。たとえば、お客様が増えて挨拶ができなくなっていたので、必ず挨拶をするようにマニュアルを変更しました。「スマイル0円」も、いつのまにかなくなってしまっていたので、昨年(2015年)5月に復活させました。こうした取り組みによってServiceのスコアも上がっていると感じています。QSCのスコアとセールスのスコアは明らかに連動していますね。

――スタッフの採用に関してはいかがですか?

【下平】採用に関しても、この2年でかなり力を入れてきました。QSCを充実させるためには、やはり人材が重要だからです。採用キャンペーンの一環としてアニメを制作したり、AKB48の横山由依さんに協力していただいたりと採用の強化を行っています。また、トレーニングマニュアルの改訂もどんどん進めています。

――客の変化ということを先ほどお話されていましたが、ハンバーガーショップが生まれてから40年が経過し、客の年齢層も上がって成熟しているのではないかと思うのですが、そのあたりはいかがでしょう?

【下平】変化はあると思います。もともと日本にはハンバーガーという食文化がなかったわけですからね。ファウンダーの藤田(田)さんはよく「日本の外食文化を変えるんや!」と叫んでおりました(笑)。今はかつてのように安ければ良いという時代ではなく、美味しいものにはお客さんがちゃんと対価を払う時代が来ていると思います。変な商品は出せません。

――下平さんは、藤田田さんの時代から歴代社長のもとでお仕事をされてきたと聞いています。原田社長時代とカサノバ社長時代で大きく変わったことは何でしょうか?

【下平】マーケットも違いますし、我々のビジネスモデルも大きく変わっていますので、単純には比較できません。東日本大震災以降、マーケットはさらに大きく変わりましたし、それはカサノバの時代になってから顕著に表れていると思います。組織のあり方もコミュニケーションのあり方も変化しました。そういう変化も含めて、ビジネスリカバリープランを遂行しているわけです。