50歳以上からの「株式投資」はNG

みずほ総合研究所の試算によると、40年間働く会社員の夫と専業主婦の妻のケースで、現在50歳で年収500万円の世帯では、65歳時点の年金月額は政府の「標準シナリオ」で22.7万円、「低成長シナリオ」では20.9万円だ。年齢を重ねるごとに年金額が引き下げられると試算されている。

北村氏は「現役世代が高齢者を支えるという現在の年金制度はすでに破綻している」と話す。

「これから現役世代の負担は年々重くなります。1970年時点では高齢者1人あたりの現役世代は9.8人でした。ところが2010年時点では2.8人。2050年には1.3人になります。すでに年金の支給開始年齢は67歳への引き上げが検討されていますが、近い将来、70歳にまで引き上げられるのは間違いないでしょう」

年金に頼れないとすれば、どうすればいいか。北村氏は「自分年金を準備すべき」という。

「年齢によって備え方は変わります。50歳以上の人は株式投資や投資信託のようにリスクの高いものは避けるべき。どの世代にも勧められるのは『個人年金』です。たとえば個人型確定拠出年金は、掛け金の全額を所得から控除できるため、節税効果が大きい。自営業者だけでなく、企業年金のない会社員も加入でき、2017年からは対象者がさらに拡大します。一方で生命保険は見直したほうがいい。定期付終身保険は年齢とともに保険料が上がります。ライフプランに合わせて保険を見直し、その分を貯蓄や個人年金に回したほうがいいでしょう」

社会保険労務士 北村庄吾(きたむら・しょうご)

1961年生まれ。中央大学法学部卒業。行政書士・ファイナンシャルプランナー。91年に法律系国家資格者の総合事務所ブレインを設立、代表を務める。著書多数。
 
(呉 承鎬=構成)
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