ブランドの認知度と知名度を向上させた雑誌報道
同社は1993年に鎌倉の鶴岡八幡宮から徒歩5分ほどの「岐れ路(わかれみち)」バス停前にあるコンビニの2階に、1号店となる16坪の店舗をオープンさせた。予算的に制約があるため条件のよい場所に出店はできず、人を雇うこともできないため、販売は貞末民子社長、シャツの企画と発注は貞末良雄氏が行うという体制からのスタートだった。
いかに上質な製品を製造販売しても、生活者に知られるまでは売れるはずもなく、同社も顧客が生まれるまでには時間を要した。創業から半年近くたった1994年5月頃に、貞末民子社長が雑誌「Hanako」に店舗の情報を投稿したところ、鎌倉特集の中で紹介され、これをきっかけに顧客が次第に増え、店の前に行列ができるようになり、商社や百貨店の幹部が視察に訪れるようになった。
1号店が軌道に乗ったことで、1995年7月に横浜ランドマーク店を出店し、それ以降東京から神奈川のエリアに直営店を出店し、事業を加速させていく。
メンズファッションの本拠地ニューヨークに
ニューヨークのマディソン街は、「ブルックスブラザーズ」「ポール・スチュアート」「Jプレス」「Jクルー」といったメンズブランドの本店や旗艦店を構える場所として知られている。2012年10月にメーカーズシャツ鎌倉は、海外1号店として約70平方メートルの店舗をこの地に出店した。
日本と同様にニューヨークでも日本製の高品質シャツが手頃な価格(79ドル)で手に入ることが評価され、クチコミやSNSによって現地の弁護士や金融関係者に広がり、出店後2年目にして黒字を達成している。