認証時間0.05秒の高性能認証技術

さて、このNHKの番組で紹介された指紋認証の装置(リーダー)・技術、番組内では言及されなかったが、実はすべてLiquidのものである。

保科秀之Liquid Japan 代表取締役

株式会社Liquidは指紋のみで個人認証を可能とする生体認証技術「Liquid Engine」を開発している。認証時間0.05 秒、誤認リスク1兆分の1という高性能認証技術で特許取得済みだ。既に指紋のみでカード不要で決済が行えるシステム「Liquid Pay」でイオン銀行などと連携し、指紋のみでATM利用を実用化している。

この技術、指紋、手のひら、静脈、虹彩など従来の生体認証に比べなぜ高速で誤りが少ないのか?

従来の認証システムは登録されてあるデータをすべて検索して、最もスコアの高いものを選び出す仕組みだ。これだと時間がかかる。Liquidの技術はAI(人工知能)を使い、似たような特徴点を持つ指紋を集め、インデックスを付けグループ化し、そのグループ内で検索することでスピードを速めている。

特徴点というのは指紋が分岐したり、線が終わっている点などのこと。この特徴点を結んでできた三角形や四角形の角度、長さ、面積などの情報をデジタル化・インデックス化して管理している。

この手法により、(1)生体認証データのみでIDを特定することができ、媒体の制限を受けず、ユーザーを限定しない利用が可能となる、(2)指紋画像で生体情報を管理しないため、生体情報の流出のリスクも低減できる――という優れた特徴が生まれる。

現在使われている本人確認はパスワードによる認証と、ICカードによる認証が主に利用されているが、生体認証はこれらに比べ、持ち運ぶ必要がなく、紛失することがない。パスワードを記憶することも不要で、定期的な更新の必要や盗難の危険もなく、利用者も管理者側も運用の負担が軽減される。