なぜ、妻への「不動産の所有名義の変更」は難しいか

ここで、住宅ローンを引き受ける妻が新たに住宅ローンを申し込み、残債を妻の名義で返済する方法もある。しかし、専業主婦などで返済基準を満たす年収ない場合は担保となる自宅があっても、住宅ローンの借り替えは厳しいのが現状だ。

妻に所有権移転登記だけすることも可能だが、もし住宅ローンの返済が滞った場合などに、離婚の事実や不動産の所有名義が変更になっていたことが金融機関に知られると一括返済を求められることもある。

つまり、不動産の所有名義の変更は、住宅ローンが残っている場合においては意味をなさないことを覚えておきたい。

ローンが払えないと、マイホームを手放したり、最悪の場合は自己破産したりするしか道はないのだろうか? 

「対処法はたくさんある。少しの知識で好転することがほとんど」と語るのは、『離婚とお金 どうなる? 住宅ローン!』(プレジデント社)の著者であり、住宅ローン問題支援ネット代表の高橋愛子氏だ。次回以降、「家」と「離婚」で破産しないために実例から学ぶプロのテクニックを4回にわたって紹介していこう。

高橋愛子(たかはし・あいこ)
住宅ローン問題支援ネット代表、宅地建物取引士、不動産コンサルタント。
1979年東京都生まれ。大学卒業後、町の不動産会社に就職し、店長として5年間、賃貸管理業、賃貸仲介業を経験する。2007年、28歳で任意売却専門の不動産コンサルタント会社を設立し独立。きっかけは、就職した不動産会社で出会ったある顧客の競売問題だった。この一件に関わったことで初めて「任意売却」の存在を知り、その方法と意義に深く共感。「住宅ローンの支払いに苦しむ人たちを助けたい」という信念のもと、任意売却の専門家になることを決める。
また、任意売却の案件を扱うなかで、不動産、住宅ローンをめぐる問題も多岐にわたることを知り、『住宅ローン問題支援ネット』という無料相談窓口を開設。相談件数は年間数百件にのぼるが、そのなかで「離婚と不動産」についての相談が特に多いことに着目したのが、本書を書く発端となった。
著書に『老後破産で住む家がなくなる! あなたは大丈夫?』(日興企画)、『「住宅ローンが払えない!」と思ったら読む本』(PHP研究所)、『任意売却ってご存じですか?』(ファーストプレス)。講演、メディア出演も多数。趣味はバス釣りで、競技会三連覇の経験もある。
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