離婚で転落・破産する人の典型例
【離婚で転落人生(1)住宅ローン破産】
例えば、マイホーム購入後間もなく離婚することになると、多くは住宅ローンが大量に残っている。仮に、離婚して自宅の連帯保証人である元妻と子供が家にそのまま住み続け、元夫が住宅ローンを返済していた場合。元夫が返済をしなくなると、元妻に一括で返済が請求されることになるのだ。払えない場合は自宅の競売、さらには自己破産へと一気に突き進んでしまう危険もある。離婚が破産危機を含む重大なトラブルにつながるケースのほとんどは、この住宅ローンが原因なのである。
【離婚で転落人生(2)熟年離婚で収入ゼロ】
神奈川県に住むYさん(63)は自営業。若い頃は羽振りがよく、高級マンションや高級車を乗り回すゆとりのある暮らしをしていた。若気の至りで年金も未払い。その後、不況で事業も低迷し、奥さんのパート収入に頼るようになっていた。あげく還暦を前にして奥さんから離婚したいと持ちかけられ協議離婚に。離婚は成立したものの、収入のないYさんはたちまち住宅ローンが払えなくなり、自宅は競売になり、現在は生活保護を受けて生活している。
このYさんの場合、支出の偏りや老後資金の準備状況に大きな問題があったが、それをしっかりやっている人でも、離婚をきっかけに、一気に破産の危機に追い込まれるケースは少なくない。
特にポイントとなるのは、夫が定年退職した後だ。収入は当然減るので、よほどの貯蓄がない限り、生活のやりくりの破綻リスクは増大する。それに加えて、離婚となると……。悲惨な熟年離婚を防ぐにはどうしたらいいのか。
【離婚話が持ち上がったらすぐすべきこと】
まず、離婚話が持ち上がったら、不動産に関する問題を把握・整理することが大切だ。離婚は不可避の情勢となったら、協議をする前にするべきことがある。それは、不動産の名義や住宅ローンの契約内容、保証人など、現状がどのような権利関係になっているかしっかり確認することだ。
これを実践するのは意外とハードルが高い。なぜなら購入の際は、マイホームを取得できる喜びでいっぱいで権利関係の内容まで把握していないケースが多いからだ。改めて内容を調べたいという場合は、地域の法務局で不動産の登記簿謄本を取得するのが手っ取り早い。また、売却するのなら、不動産業者に土地・建物の査定をしてもらい、あらかじめ資産価値を把握しておくのもいいだろう。