そのメダルは、2020につながるか?

3つ目は、ロシアのドーピング問題の余波である。陸上や重量挙げなどでロシア選手は除外された。さらにドーピング検査が厳格化され、まったくクリーンである日本選手にとっては相対的にプラスに働いたようだ。

ちなみにロシアの金メダル獲得数は19個(4位)に終わり、ロンドン五輪の24個から金メダルを減らした。

選手強化もビジネス同様、基本は『PDCA』を回していくことである。PDCAとは、P(プラン=計画)、D(ドゥ=実行)、C(チェック=評価)、A(アクション=実行)。すぐにスポーツ庁でリオ五輪の検証が行われ、2020年東京五輪へどうつなげていくのかが検討される。

間野教授は言う。

「メダルの数だけでなく、質もきっちりと見なければいけません。2020年につながるメダルと、そうでないメダルを仕分ける必要があります。またメダルだけでなく、4位から8位の選手も分析しないといけない。その中には、次の2020年にはメダル争いに入っていく潜在能力を秘める選手がいます。そういった選手をどうやって育てていくのかも大事なのです」

リオ五輪の「ステップ」をどう力強いものに変えるのか。それが、東京五輪での「ジャンプ」のメダル数につながるのである。

松瀬 学(まつせ・まなぶ)●ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書に『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)、『一流コーチのコトバ』(プレジデント社)、『新・スクラム』(東邦出版)など多数。2015年4月より、早稲田大学大学院修士課程に在学中。
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