平均身長6センチの体格差をどう埋めるのか

スウェーデン戦の課題はまず、1、2戦を戦ったマナウスからの移動だ。

西部のマナウスから東部のサルバドルまで約2600キロ。6時間も移動した後の戦いとなる。1、2戦の疲労に加えて、移動での体調管理がうまくいくかどうかが課題だ。

そして、もうひとつの課題が体格差への対応。

堅守速攻をチームカラーとする両チームだが、スウェーデン代表の平均身長は180センチ超。フォワードとディフェンダーにおいては180センチ後半の選手をズラリと並べる。それに対して日本代表18人の平均身長は176.4センチ。FWとMF10人の平均身長はわずか172.5センチと、明らかに体格差がある。

日本は守備において、大柄な選手によるハイボールからの空中戦に苦労する時間が多くなる可能性が高く、攻撃においてはゴール前に高い球筋のクロスを供給してもチャンスは少ないかもしれない。スウェーデンの速攻に対して、なるべく前線でボールに働きかけ、スピードを遅らせる対応が、フォワードとミッドフィルダーにできるかどうか。

当初、代表選考時にオナイウ阿道(180センチ)といった比較的長身の選手を外したのは、「高さ」ではなく、「速さ」でゴールを奪うとの、手倉森誠監督の明確なメッセージだ。久保裕也が所属チームの事情によってメンバーから外れ、替わって長身フォワードの鈴木武蔵が登録されたが、多少の戦術変更はあるにせよ基本的な戦い方は変わらないはずだ。

スウェーデンをはじめ、グループB各国の戦力を分析したうえで、相手の強みを消して、自分たちの強みで相手の弱点を突くことを、現有戦力の中でいかに成し遂げるか。そのような戦い方を手倉森監督が培ってきたのは、J2時代から指揮したベガルタ仙台だった。外国人選手など大型補強が望めない当時の仙台にあって、「点を与えないことならできる」とまず守備を固め、速攻で活路を目指す戦い方を身に付けた。

欧州の強豪スウェーデンに対する日本代表は、「弱者の戦略」を極めたJ2時代の仙台と符合する。仙台時代を今でも自分の“原動力”として大切にしている手倉森監督の手腕に、大いに注目したい。

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