より身近なリスクとしては「歩きスマホ」の問題がある。これは道路や駅のホームで危ないだけでなく、周囲への警戒が緩くなることでひったくりなどの犯罪にも遭いやすくなる。ポケモンGOでは移動中に画面を見続ける必要がないように、ポケモン出現時に端末が振動するようになっている。こうしたゲームの仕様を理解していれば、「歩きスマホ」をしなくても安全に遊べる。遊び方への正しい理解が広がれば、ユーザーのマナーも改善していくだろう。
このほか、ポケモンGOでの注意点は、スマホやネットの利用時の注意点と重なる(※2)。 たとえば――、
・ゲーム中のニックネームは、トラブルに巻き込まれないように、実名を推定しづらい名前にする。
・ポケモンGO自体はユーザー同士の連絡手段を提供していないが、ソーシャルメディアを通じた情報交換が行われている。ゲームにかこつけて会おうとする人に対しては警戒し、ひとりで会うのは避ける。
・天気予報を確認する。気象警報や注意報が出た場合には、プレイは控える。特に夏場は熱中症のリスクがあるため、こまめに水分補給をする。
・最近の子供は携帯電話に慣れているため、公衆電話の使い方や自宅の電話番号を知らないことがある。ポケモンGOは電池消費が激しいので、電池が切れたときの行動を確認する。
ポケモンGOは社会現象となっているが、ゲーム固有の問題は意外と少ない。子供がスマホをどう使っているかについて、しっかりコミュニケーションが取れていなければ、ポケモンGOを禁止しても、トラブルを防ぐことはできない。むしろポケモンGOを、利用ルールを決める機会にしてみてはどうだろうか。
※1:出雲大社のホームページでは<神社境内地・周辺社有地及び出雲國造家千家國造館敷地などでのゲームアプリ「ポケモンGO」の使用は禁止とします。出雲大社社務所>と書かれている。
http://www.izumooyashiro.or.jp/20160720_kinsijikou.html
※2:内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は日本での配信に先立つ7月20日、ポケモンGOのプレイヤーに注意を呼び掛けるチラシを公開し、注意を呼びかけている。本稿での注意点もこの内容を踏まえている。
http://www.nisc.go.jp/active/kihon/pdf/reminder_20160721.pdf