特に相談が多いのはヘルスケア分野

【田原】事業の話に戻りましょう。サービスを開始するにあたって、最初に集めるのはお客さんとアドバイザーのどちらですか。

【端羽】アドバイザーのほうです。アドバイザーが3000人になったらニーズを集めにいこうという話をしていました。このラインを越えるのに、だいたい1年かかりました。私は金融出身でPRがあまりうまくないのですが、14年の秋ごろからシェアリングエコノミーが注目され始めて、「知識の分野のシェアといえばビザスク」と取り上げてもらえる機会が何度かありました。それもあって相乗効果でお客様とアドバイザーが増えていきました。

【田原】最初、アドバイザーは女性を想定していたとおっしゃっていましたが、実際はどうですか。

【端羽】思いきり男性向けのサービスになっています。現状で登録者の9割は男性です。私は出産や育児でキャリアを中断した女性に知識が眠っていると考えていたのですが、じつは男性も40代や50代で出世コースから外れて、「6時に帰ります」という人が多かった。

【田原】業種はどうですか。

【端羽】ニーズでいうと製造業やヘルスケア分野が目立ちます。最初はWebマーケティングなどIT系のニーズが高いのかと思っていましたが、ご相談で多いのは新規事業で、とくにヘルスケア分野への関心が高い。たとえばヘルスケア分野で新事業をやるが、法的な安全基準のほかに自社ルールをつくるなら、どのレベルがふさわしいかといった内容です。

【田原】件数は今どれくらいですか。

【端羽】依頼数で月約1000件台後半です。ただ、マッチング率は100%ではありません。ニーズがあるのに専門家がいなくてマッチングしないことも多いので、アドバイザーの数はもっと必要です。一応、今年末に登録者数3万7000人を目標に今頑張っています。

【田原】フルサポート型とWeb完結型の2つがあるとおっしゃっていましたが、将来はどちらを増やしていくのですか。

【端羽】Web上のほうを大きくしていきたいです。私たちが目指しているのは、誰もが自分に必要な知見にアクセスできる環境をつくること。プロダクトをもっと使いやすくしていけばサービスの利用が広がって、ウェブ上のほうが大きくなっていくはずです。

【田原】海外はどうですか。

【端羽】海外のことを知りたいというニーズは全体の10%くらいあります。海外に詳しいアドバイザーを集めるのは大変かなと思っていましたが、海外の人は自分のキャリアをリンクトインなどでアピールしている方が多く、探すのはそれほど難しくありません。依頼すると気軽に「いいよ」とい言ってくれて、話が早いです。

【田原】逆に海外からの引き合いのほうはどうですか。

【端羽】あります。海外の会社から、日本の物流はすごいので詳しい人にインタビューしたいとか、インバウンドが日本の産業に与える影響を知りたいとか。ただ、私たちがまだ対応しきれていないところがあります。これからの課題です。

【田原】わかりました。これからも頑張ってください。