ダメ親の弱点が思春期の子供を救う!
現在発売中のプレジデントFamilyの夏号では、「いま子供の体と心があぶない!」と題して思春期の子供の特集を組んでいる。そのなかのムスメ編では、親世代と比べていまの子供たちの思春期がいかに大変で危険になっているかを紹介している。
その記事に出演している渡辺さんが「親として大切なこと」と繰り返し訴えたのが「ああ、その気持ち、わかるよ」と言える「共感力」だった。親が子供からまず求められているのは、必ずしも正しい判断力や決断力ではない。もちろん、それもとても大事だが、まずは共感力のほうが上なのだ。
ということは、もしかしたら、普段から失敗ばかりして「自分はダメな親だ」と感じている人にこそ、心がささくれている思春期の子供対策にうってつけな「人材」なのかもしれない。
例えば、母親や父親がこんなケースだ。
(1)自分(親)が忘れ物ばかりしているから、子供が忘れ物をしても頭ごなしに叱れない
(2)親自身もすぐに感情的になって上司にも盾突いてしまうたちなので、ささいな原因で友達とケンカしてしまった子供の気持ちもよくわかる
(3)自慢にはならないが、勉強はあまり得意ではなかったので、子供の成績がイマイチでも、怒らずに「そりゃあ、難しいよね」って思える
ふだんは、自他ともに認める「親失格」の状態であっても、そんな弱点が逆に、SOSを発している息子・娘たちに共感するための“武器”となるのかもしれない。
ただし、子供たちがどういう状況に置かれているのかは正しい理解が必要だ。わが子に共感するためにも、プレジデントFamily夏号をぜひご覧いただきたい。
法政大学文学部心理学科教授。著書に『子どもの「10歳の壁」とは何か? 乗り越えるための発達心理学』『中1ギャップを乗り越える方法 わが子をいじめ・不登校から守る育て方』、他多数。