ムダの原因が明確になったら、それを先読みストーリーに活かす。

「明日、明後日……と1カ月先まで、1時間単位でどんな時間を過ごすかをシミュレーションしていきます。たとえば人との会合が時間を浪費した原因だとわかったとします。原因を突き止めたら、この人と会うと話が長くなるから、こう切り出そうとか、この人と会うとつい飲みすぎるから、午前中に会おうと、先の行動につなげていくのです」

こうやって具体的に行動をシミュレーションしていくと、選ぶ・捨てるものが見えてくる。もしシミュレーション通りにいかなければ、その原因を追究し、次の仕事にフィードバックするわけだ。

面白いのは、食べるものまで予測していること。

「明日はこんなものを食べるだろうなと予測すると、それが目に入ったときスッと店に入れます」

これなら今日のランチは何を食べようか、どの店に入ろうかと迷う時間を省くことができる。

森川氏は、「多くの人は3割以上ムダな時間を過ごしていると思います」と言う。先読みストーリーは森川氏が太鼓判を押す方法なので、ムダな時間を過ごしがちな人は試してみるといいだろう。

▼森川氏が捨てた4つのこと

[1]成功
LINEにいながら新規事業を起こすのではなく、あえて一からのチャレンジ。そのほうが成長が加速し、未来の投資価値が高まると考えた。

[2]趣味
仕事の時間を捻出するために、読書、スポーツクラブなど趣味は一切やめた。睡眠は仕事に直結する大事なものなので今は5時間ほど確保している。

[3]「とりあえず会う」こと
顔合わせや近況報告のような目的のない約束は一切しない。会う目的は何か詰めていき、どうしてもと判断したときのみ出かける。

[4]10分以上かかる仕事
森川社長の1つの仕事は10分。資料作成、意思決定などもすべて10分。10分でできないと思ったことは一度やめて条件がそろった時点でとりかかる。

C Channel CEO 森川 亮
1967年、神奈川県生まれ。筑波大学卒業後、日本テレビに入社。勤務の傍ら青山学院大学大学院国際政治経済学科でMBA取得。2000年、ソニーへの転職を経て03年、ハンゲームジャパン(現LINE)に入社。07年、社長就任。15年4月より現職。
(Top communication=構成 的野弘路、貝塚純一、太地悠平=撮影)
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