総務省がLINEヤフーの「韓国依存」を問題視

「LINEヤフー個人情報漏洩事件」が、日本と韓国の官民を巻き込んだ政治問題に発展する様相を帯びてきた。

総務省は今春、LINEヤフーに対し2度にわたる行政指導を行い、個人情報漏洩事件の根っこには「大株主の韓国IT大手ネイバーに強く依存する体質があった」と断定、資本関係の見直しを含めたセキュリティーガバナンスの抜本改革を迫った。

記者会見で記者の質問に答えるLINEヤフーの出沢剛社長=2024年5月8日、東京都千代田区
写真=時事通信フォト
記者会見で記者の質問に答えるLINEヤフーの出沢剛社長=2024年5月8日、東京都千代田区

事実上、ネイバーの資本面での影響力低減を要求したわけだが、政府が一民間企業の資本のあり方にまで注文をつける事態は異例中の異例といえる。そこには、もはやネイバーから“乳離れ”しなければ、日本の社会インフラとなったLINEの安全管理体制を確立できないという危機感がうかがえる。

ところが、総務省の要請に対し、LINEヤフーを世界戦略の拠点事業と位置づけるネイバーが反発。ネイバーを後押しする韓国政府が遺憾の意を表明し、松本剛明総務相が弁明する事態に発展した。日本国内では、経済安全保障の観点から、ネイバーの影響力縮小を求める声も出始めた。

「日の丸SNS」に生まれ変われるか

総務省は、7月1日までにLINEヤフーにあらためて再発防止策を報告するよう求めているが、それまでに総務省が想定しているような親会社のソフトバンクがネイバーの株式を引き取る形で決着するかどうかは予断を許さない。

LINEヤフーにしてみれば、親会社間の綱引きが頭上の空中戦に発展した以上、もはや当事者としてできることは限られる。まさに、まな板の上のコイである。

ネイバーもソフトバンクも、対応を誤れば、一民間企業の枠を超えて日韓間の新たなトゲになりかねない。

国内で9600万人が日常的に利用し多くの公共機関も活用しているLINEが、名実ともに「日の丸SNS」に生まれ変われるかどうか、重大な局面を迎えている。