箱根駅伝の優勝監督が「感情表現」をみる理由

箱根駅伝で、総合優勝を果たした青山学院大学の原晋監督は、学生への評価をめぐって興味深い考え方をおもちのようです。テレビ番組のインタビューで、選手をスカウトするポイントを2つあげ、ひとつは跳躍力や持久力などの身体能力、もうひとつは感情表現やコミュニケーションスキルの豊かさをみると話していました。

たとえば、いくら身体能力が高くても、監督の指示に「はい」という返答しかできない選手は、ポテンシャルが低い。一方で、感情表現が豊かで、人間関係をつくるのがうまい選手は、現時点の走力は高くなくても伸びしろがある。そう判断するそうです。原監督はかつて中国電力の営業マンとしてビジネス経験が豊富だそうです。選手の見分け方にも、その経験がいきています。

会社組織においても、上司に評価され、実際に大きな仕事をやり遂げる社員とは、業務遂行能力だけでなく上司や周囲への配慮ができる人です。与えられた指示に対して「はい」としか言わない部下に、上司は「本当にわかっているのか」と疑念を抱きます。与えられた指示を単にこなすだけでなく、具体的な対処法や根拠を示す。そうしたロジカルな対応が、「こいつには任せられる」という評価につながるのです。

もし「自分は評価されていない」と感じるのであれば、これまでの「上方向への影響戦略」が間違っていたかもしれません。より地位の高い人を使って、上司をやり込めてしまったことはないでしょうか。自分の主張ばかりを押し付けてはいないでしょうか。長期的なキャリア形成においては、初期の評価がとても重要です。戦略を見直すのであれば、できるだけ早いほうがいいでしょう。

早稲田大学ビジネススクール准教授 竹内規彦(たけうち・のりひこ)
2003年名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程修了(博士〈学術〉)。その後、独立行政法人・日本学術振興会特別研究員(SPD)、東京理科大学経営学部准教授、青山学院大学大学院経営学研究科(戦略経営・知的財産権プログラム)准教授等を経て、2012年より現職。専門は組織行動学・人材マネジメント論。
(構成=稲田豊史 撮影=小倉和徳)
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