社員の残業時間とストレスチェックで長時間労働をさせている管理職を降格させるなど排除しようとしていると語るのはゲーム会社の人事担当者だ。

「人事評価などオフィシャルな情報以外に部下・同僚・上司が評価する『360度評価』、職場の『残業時間』と『ストレスチェック結果』の3つで管理職の適性を判断している。上司に対する部下の評価が低い職場はストレス度も高くなるなど相関している。加えて職場の残業時間が月平均50時間を超えていれば完全に管理職失格だ。パフォーマンスが高くても降格させるか、担当部署を外すようにしている」

また同社は社員の残業抑制策としてボーナスで格差をつけている。人事担当者は「人事評価が低いのに残業時間がやたらに長く、残業代を多くもらっている社員が、残業が少なく人事評価が高い社員よりも報酬が高いというのはどう考えても不公平。残業が少ない社員はボーナス時に50万~100万円増額し、残業が多い社員は同額を差し引いている。生産性の高い燃費のいい社員に報いるのは当然」と指摘する。

長時間労働と生産性は必ずしも結びつかない。山本教授は「分析の結果、必要な労働時間を超えて非効率的に働いている時間が週に2~3時間あることがわかった。小さいが年間では13~14日分に相当する。効率的な働き方を追求する必要があるが、加えて自分の仕事はここまでだというやるべき仕事の内容を明確化することだ。仕事の進め方が明確になっているほどパフォーマンスも高いという結果も出ている」と指摘する。

実際に人事担当者からも「業務をできる限り細分化して見える化し、誰でもでき、後工程に渡せる仕事を増やすことが必要だ」という意見や「人事評価項目に少ない時間にどれだけ生産性を上げたのかという生産性の指標を入れる予定だ」との企業もあった。

また、国の労働時間政策も重要な鍵を握るが、食品会社の人事担当者は「ノー残業デーをやるとなると、営業から顧客に対応できないという文句が絶対に出る。そうであれば残業を許している現行の労使協定も廃止すればよい。そもそも日本の法律は残業してはいけないのが原則だ。労使協定がなくならない限り長時間残業はなくならないと思う」と語る。

少々乱暴な意見かもしれないが、日本の長時間労働の常態化は労働人口が減少する中で、生産性の低下や女性活用を妨げる大きな要因になっているのも事実だ。個々の企業の抜本的な見直しが急務になっている。

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