残業理由の多くは「上司や役員のこだわりのため」

長時間労働はドンキに限らない。表には出ないがじつは労働基準監督署から是正勧告を受けている企業が多く、その対策に人事部は苦慮しているという。ではなぜ長時間労働はなくならないのか、その原因について聞いた。

【建設】「成果を出すならば、時間をいくらかけてもいい」という考え方がなくならない限り、長時間労働はなくならないよ。経営トップ層は、「自ら若いときから猛烈に働いてきたからこそ会社が存在し、今の地位を築いた」という思いが強い。少ない時間で成果を出す社員にいい人事評価を与えるようにしなければなくなることはない。

【IT】根本的には日本人特有の生真面目さがあるんじゃないか。「同じ時間を共有しなければいけない」という暗黙の価値観、「上司の目を気にするヒエラルキー意識」が強い。先日の雪の日の出勤風景なんか象徴的だよ。なんであんなに無理して出社するんだろうと思ったよ。

【電機】会議資料や提案資料もなんでもパワポにするなど、資料の品質にルールがないために時間をかけすぎている。加えて会議や打ち合わせに人数をかけすぎているという問題もある。

【食品】IT化の弊害もあると思う。IDパスワードを使った仕事が増えて、何から何まで全部1人でこなさないといけない。交通費の精算や商品の引き当て、顧客データの入力などは忙しいときは事務の社員が見かねてやってくれたが、システムの権限設定を行わないと頼みたくても頼めないし、会社に戻って自分でやるしかない。

【電機】働き方で言えば自分自身の仕事を断捨離し、優先順位をつけて仕事を行う能力がある人はOKだが、それがないと結局ダラダラやることになる。「仕事が終わらなければ残業してでもやる」というタイプの人はダメだね。

【IT】そう。ゴールに向けてタスクを洗い出し、プロセス・スケジュールを組んで仕事を進めることが不得手だと、漏れやムダ、根回し不足でやり直さなくてはいけなくなる。結局、業務量が増えて長時間労働につながっていく。

【建設】残業理由の多くがじつは上司や役員の仕事に対する細かさやこだわりのためだったりする。指示された仕事は今日中にやらなければ許されないとか、資料の誤字脱字は許されない、事前説明がないと会議にかけてはいけないという暗黙のルールや長時間労働を助長する風土が、個人の問題よりも意外と残業の原因になっている。

【ゲーム】そう。そもそも定時に帰ろうという気がない人や単に仕事が遅いといった個人に問題がある場合も多いが、上司のマネジメント力不足も原因として大きい。組織全体で長時間労働が当たり前だと諦めてしまっているパターンが非常に多く、なぜ定時に帰れないのかをとことん突き詰めて解決しようとする努力が圧倒的に足りないと思う。