中国投資で大きな損失が出ている
――今回のクーデターの背景には韓国ロッテの大きな問題も隠されているといわれていますが。
会長は経営の怠慢で損失を出すことに非常に厳しい。佃さんの話を聞いた会長から私も非常に怒られました。しかしそれ以上に大きな損失を弟(重光昭夫)が中国投資で出していたのです。今わかっているだけでも中国や香港で5年間で1兆ウォンの損失を出しています。これを会長にはきちんと報告していなかった。
――兄弟の対立のきっかけは、もともと宏之さんが韓国ロッテのロッテ製菓の株を買い集めようとしたことがきっかけとなったという話も出ていますが。
あれは父からは株を買うよう言われて買ったのです。そのとき、全然関係ない企業の株を買っても仕方ありませんから、ロッテ製菓の株を買ったのです。
――ロッテグループは日本と韓国の2つに分かれていて、複雑な株主構成になっているといわれていますが、どのような組織になっているのでしょうか。
韓国ロッテはホテルロッテが持ち株会社に近い役割を果たしています。韓国では持ち株会社が認められていませんでした。またホテルロッテができた当時は外国からの投資の規制が非常に厳かったのですが、ホテルはその例外的な業種だったのです。だからそこを窓口にして成長分野に投資をしてきましたし、M&A をして会社を買収していくうちに資本関係が入り組んでいってしまったのです。日本の場合も会社の構造がやや複雑だと言われ、以前は事業会社であるロッテが持ち株会社のような役割を果たしていたのですがこれを分離し、2007年に持ち株会社であるロッテホールディングスを立ち上げました。資本関係が複雑だと配当に対して余計に課税されてしまう。そこで持ち株会社と事業会社を分離することによって、資本関係をすっきりとした形に整理したのです。ただそれでも、日本の税制と韓国の税制が異なりますので、それを満たすためにはかなり複雑な構造になり時間がかかってしまって今の形になっています。
――韓国と日本のロッテは持ち合いのような状態になっているのですか。
それはありません。日本のロッテグループは持ち株会社がロッテホールディングス、その下に事業会社であるロッテがあり、投資会社としてはロッテストラテジックインベストメントという会社が韓国投資への日本側の窓口になっています。その下にはもともとホテルロッテの株をもっていたL投資会社という会社があります。これはもともと事業をしていた会社なんですが、韓国では会社が分割などで名義が変わってしまうと売買された扱いとなり、課税されてしまうので、それがないように、分割した会社を残しているのです。最終的にはロッテホールディングスが持ち株会社になっています。ただ傘下の会社ではどうしても持ち合いのようなものが起きてしまっているのです。