ふるさと納税をすると、寄付金の半額分を「ピーチポイント」として獲得でき、航空券購入に利用できる制度も「他社がやらないこと」の典型だ。
ピーチは14年7月に泉佐野市を皮切りにこの制度をスタート。現在は計8つの自治体に拡大している。きっかけをつくったのは、広報・ブランドマネジメント部広報課マネージャーの阪上博則。泉佐野市役所からの出向者だ。
「関空があっても、これまで泉佐野市はただ通過されるだけ。でも、ピーチがこれだけお客さんを関空に運んできてくれているんだから、それを泉佐野市の観光振興につなげたいと思ったのが始まりですね。ピーチに話を持ちかけると実にノリがよくて、トントン拍子で話が進み、私もこちらに出向することになりました」
スタート当初は認知度が低かったものの、Webで告知をすると利用が急増。13年に5000万円弱だった泉佐野市への寄付金は14年には4億6000万円に増え、そのうち40%近くが謝礼品にピーチポイントが選ばれた。15年も勢いは衰えず、11月時点ですでに昨年の数字を上回っている。
「泉佐野がある泉州地域には、タオルや玉ねぎ、キャベツといった特産品があるんですが、これまで認知度は低かった。ピーチポイントとの提携を機に知られるようになったのはうれしいですね。これからも街の活性化に真剣に取り組んでいる自治体と手を組んで広げていきたいと思います」(阪上)
自治体、ピーチ、納税者。それぞれにメリットをもたらすユニークな制度を考案した阪上に、職場としてのピーチの印象を聞いてみた。
「決裁のスピードがものすごくて、役所とは比べものにならない。やり方も180度違いますが、やりたいこと、面白いことが実現できる会社ですね」
(文中敬称略)
1958年、神奈川県生まれ。三菱重工業を経て、90年全日本空輸入社。北京支店総務ディレクター、アジア戦略室長、LCC共同事業準備室長を歴任。2011年、A&Fアビエーション(現ピーチ・アビエーション)CEO就任。