チェックイン機は自社で開発&作成

15年10月。関西国際空港に新しいチェックイン機(キオスク)が登場した。高さは190センチメートル。背の高いキオスクは「世界最速、最安、最軽量」を実現した史上初の段ボール製だ。

「以前の木製のキオスク同様、今回も自社で内製しました。普通、こうした機械は7年持ちますが、この世界はスピードが命。いずれ時代に追いつけなくなるので、自発的に見直して交換しようと考えた。ただ、どうせやるなら何らかの付加価値がほしい。それが『世界最速、最安、最軽量』です」

こう話すのは、イノベーション統括本部イノベーション統括部部長の前野純だ。一部上場企業でチェックイン端末を開発し、エアラインに納入する側だったという前野は、就航前の12年1月にピーチに転職した。

イノベーション 統括部部長 前野 純氏●大手電子機器メーカーにて約10年在籍し、航空会社の搭乗システム等の開発に従事。2012年1月よりピーチ・アビエーションに参画。チェックイン機の開発などに従事。

今回導入したキオスクの処理時間は約5秒。予約コードを読み込むと、機械にはインターネット予約時の言語が5言語の中から自動的に表示される。迷う間もなく手続きが完了だ。

以前の倍以上の32インチ大型モニターによる効果も大きい。「チェックイン受付中」「お並びの方は旅程表とパスポートをご用意ください」といった案内画面の情報が後列の客に伝わりやすくなったからだ。チェックイン前に準備を整えておいてもらえば、チェックインはスムーズに進む。

「LCCは秒を争うビジネス。処理時間が1秒速くなれば、1便に180人のお客様が搭乗されるとして、180秒短縮できる。ピーチの機材は目的地に着いてから折り返すまで30分。3分の意義は大きいです」(前野氏)

チェックイン時間が短ければ、さばく人数も増え、キオスクの台数も必要最小限でいい。空港には機械1つ置くにしても、使用料が発生する。台数が少ないとスペース代も安く済む。