中国発の格安航空会社「春秋航空日本」が日本デビューした。成田からの3路線で運賃は片道5000円台からと破格の安さだが、中国クオリティははたして日本の消費者に受け入れられるか。初便に搭乗してわかった本当の実力とは――。
では春秋航空日本は今後の展望についてどう考えているのだろうか。それを知る糸口になるのが、親会社の春秋航空が日本への国際線の運航に事足りず、法人設立まで考えた理由である。
春秋航空日本の王煒会長は率直にこう語る。「日本法人を設立した目的は、日本から国際線を飛ばすことにある」。これはどういう意味なのか。
「LCCである春秋航空は中国でも北京など主要空港にはなかなか乗り入れできない。同じ制約は日本にもあるが、中国から乗り入れの難しい成田や羽田を利用するには、日本法人の設立が不可欠と考えた。これは茨城線就航後、すぐに考えたことだった」
年間9000万人の中国市場をつかめ
中国から飛ばせないなら、日本から飛ばせばいい――。「国進民退(国有企業が増進し、民間企業が縮退する現象)」が進む中国で、ナショナルフラッグに比べ立場の弱い民間航空会社には、自国市場に執着しない複眼的な発想が求められるのだ。
春秋航空日本の関係者が直近で注力しているのは、成田からの国際線の運航である。成田空港の就航セレモニーに出席した春秋グループの王正華会長は「中国から多くの観光客を呼び込みたい。我々は日本経済に貢献したい」と大胆に呼びかけていたが、日本法人設立の背景には国内需要のみならず、訪日旅行需要の取り込みがあるのだ。