――「家」のように長期的なお金のマネジメントが必要なものは、どのように考えればいいですか。

【藤川】そもそも、家を買うなら、売ることを考えて買わなければダメ、というのが私の持論です。でも、多くの人は家を買うときに「ここに一生住む」と覚悟を決めてしまっている。実際には、たとえば介護が必要になったとき、それに適した家とは限らないし、介護施設に入るとなれば家を売る局面も出てくるわけです。購入する年齢よりも、5年、10年で売る、という出口も考えて買うことをお勧めします。

都心ならば、マンションが多いでしょうけど、マンションは時間が経てば経つほど、価格が下落します。とくに最初の15年はマンション販売業者の利益の部分と住宅設備の部分の減価償却が一気に進む。それを考えると、15年待つよりも10年ぐらいで売ってしまうというのが、実は一番お得なはずなんです。10年であれば、お風呂を取り替える必要もない。価値が残っていると1.2倍、1.3倍と、こちらの言い値で高く売りやすい。それが15年、20年経つと、ただのコンクリートの箱としての評価しかされなくなってしまうわけです。

【横山】当然、立地も重要ですよね。駅から近いとか。都内ならどこでもいいという時代はとうに過ぎました。

【藤川】日本の人口は15年後に1100万人減りますから、駅から離れている、郊外である、地方であるといった物件は、ガラガラになります。すでに、リゾートマンションの中にはタダでも買ってもらえない物件がたくさんある。たとえば温泉を引いていて、管理費や修繕積立金などを合わせると月5万円以上かかるような物件とか。都内のマンションや戸建て住宅でも似たようなケースは売りにくい。そんな物件を子供が相続させられてもありがた迷惑。自分が老人ホームに入るから売ろうと思っても、買い手がつかない物件も多いのです。