――「おひとりさま」を決め込んだ独身女性の間では、マンションを購入する人が増えているように見えます。

【藤川】派遣社員や契約社員で年収300万円前後の方が購入しているケースが珍しくありません。それでローンを組めるのだから、われわれとしては驚きですね。実際、そうした女性をターゲットにしたマンション購入講座も盛んに開かれています。

【横山】でも、全部仕組まれているように見えますね。

【藤川】物件の価格としても高め、ローンの金利も高め。3000万円前後で、東京23区内の物件が多い。彼女らは自分でも「買える」ということに価値を見出しているんです。それが一つのステータスというか、マンションを買える自分というのにご褒美をあげたい感じなのでしょう。

【横山】マンションの販売業者の中には、ローンの返済額は、月々の家賃より安いと説明するケースもあるようですが、実際には、ローン以外に税金や管理費、修繕積立金など様々な費用がかかり、賃貸より安くすむなどとは、なかなかいきません。

【藤川】マンション関連の支払いに苦しんで、食べる物もまともに食べずに、友達から飲み会に誘われても断って、家で紅茶を飲んでくつろぐのが楽しみみたいな感じになってしまう。収入のほとんどを家に持っていかれて。

【横山】そもそも、そういう貯金もなくて、将来の収入もどうなるかわからない状態で、住環境を求めるところが間違っている。

【藤川】男性の場合、いつか結婚できると思って郊外のファミリータイプのマンションを買ってしまう方もいますが、私だったら都心に投資用マンションを買います。狭いワンルームだったら、中古で、1000万円以内でいくらでも出ていますよ。それで一生涯の自分の家がフィックスできるんだったらアリだと思いますし、そこに住まないなら貸せばいい。

藤川太
家計の見直し相談センター代表。ファイナンシャルプランナー、CFP認定者。宅地建物取引主任者。
1968年、山口県生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、大手自動車メーカー勤務を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。累計2万世帯超の相談実績を誇る。著書に『やっぱりサラリーマンは2度破産する』『年収が上がらなくてもお金が増える生き方』など多数。
 
横山光昭
家計再生コンサルタント。マイエフピー代表取締役。ファイナンシャルプランナー。
司法書士事務所勤務を経て、同社設立。個別の相談・指導では、お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムを生かし、これまで7000人以上の赤字家計を再生した。著書は累計57万部を超える『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズを代表作とし、著作累計86万部となる。
(小澤啓司=構成 小原孝博=撮影)
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