なぜ、「イモトアヤコ」は企業の即戦力か?

本音は海外より日本国内で働きたいという学生が多いのは確かなようだ。しかし、国内のシェアが高いビジネスを展開している企業はそれでもよいのかもしれないが、海外での売上高が大きい企業では海外勤務はマストだ。

エンジニアリング会社の人事担当者は「入社したらインドネシアの奥地に赴任できますか」という質問をして学生の反応を見ているという。

「質問すると、一瞬間を置いて、『えっ、はい』とか、『何年ぐらいですか』と聞いてくる学生がいますが、本当は行きたくないというのが見え見えですし、こういう学生はアウトです。じつは当社の社員でも海外赴任先が決まると『水は飲めるんですか。近くにスーパーはありますか』と事細かく聞いてくる社員もいます。でもそういう社員に限って海外に行っても病気か、仕事のトラブルなど何かに躓き、うまくいかなくて日本に戻ってきます。逆に大雑把で彼なら何を食っても平気そうだなというタイプが現地でもうまくやっています」

外国でも物怖じしないで自分を出し、人々と交流しながらタフに生き抜く人材……。複数の人事部の話を総合すると、それはお笑いタレントのイモトアヤコのような人材かもしれない。

自著『イモトアヤコの地球7周半』(プレジデント社)には年間240日もの海外取材・ロケの様子を執筆。帯には、「TOEIC勉強より、どんどん海外に出ていって人と接するべき」と。

テレビの『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)では珍獣ハンターの異名を持ち、辺境地を含む世界各国に出向き、現地で予期せぬトラブルに見舞われながらも、スタッフの無理難題の指令を何とかクリアする。ヒマラヤ登山にも挑戦している。男顔負けの「骨のある」人材といえるかもしれない。

採用の現場でそうした資質を持った学生を探し出すのは至難の技だろう。実際、採用する企業も大変なようだ。結果的に、人事部に日本語ができる外国人留学生の人気が高くなるのも頷ける。

企業にとっては海外拠点でビジネスやマネジメントができる人材の養成が急務となっている。だが、それ以前に「海外で働きたい」というマインドをどのように高めていくのか。これが最も大きな課題なのかもしれない。これは何も企業だけの問題ではない。学生を送り出す側の大学を含めて取り組むべき課題だろう。

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