なぜ「佃製作所」の社員はあんなに必死に働くのか?

中小企業の奮闘ぶりを描いたテレビドラマの「下町ロケット」が平均視聴率20%を超える大ヒットとなっている。

前作の「半沢直樹」では銀行内部の保身と隠蔽体質、権力欲に取り憑かれた人たちの姿を嫌らしいぐらいに描いていた。今回は帝国重工という超大企業などが下請け企業の佃製作所をいじめ抜くという強者と弱者の対比が巧妙に描かれている。

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いよいよ12月20日が最終回。「下町ロケット」公式サイトには、「佃製作所 日本を支えるイケメン日誌!」と題して、ドラマ内の社員を演じる俳優が交互に日誌を公開中。(http://www.tbs.co.jp/shitamachi_rocket/c_report/

だが、それにしても大企業・大組織にバカにされ、踏まれ続けても決して諦めることはない佃製作所の社長と従業員たちの結束力と底力には驚かされる。フィクションとはいえ、何かしら刺さるものがある。

彼らのモチベーションはどこから生まれてくるのか。

もちろん、阿部寛演じる社長の佃航平のリーダーシップや社員一人ひとりと真摯に向き合うコミュニケーション力も大きいだろう。

しかし、もう1つ見逃してはならないのはテレビには出てこないが人事制度も影響しているのではないか。

一般にモノヅクリの中小企業は年功序列型の賃金制度と長期雇用をいまだに堅持している企業が多い。年功序列型の賃金制度とは正確に言えば、本人の経験と「能力」の伸長度合いに応じて昇給・昇格していく「職能主義」と呼ばれる仕組みだ。

入社後の人材育成は先輩が後輩を指導するOJT(職場内訓練)を基本に経験と能力を積んでいく。

とくに生産現場では技術の向上を促す独自の仕組みを設けているところが多く、溶接、鍛造(金属加工の塑性加工法の一種)、機械、プレスなど必要な技能の幅と深さを整理し、修得レベルに応じて専門資格や技能レベルを認定するケースが多い。