「それは、締め切りを設定することです。例えば、『今月、退職勧奨に応じたら退職割増金として給料の○カ月分、それも有給も買い取るのでプラス1カ月の解決金となりますが、来月以降はこの条件は提示しません』といった提示のしかたです」

こうやって期限を切ると、心理的にお金の持つ価値が高まるという。それほど多くない額でも今日ならもらえるけれど、明日になるともらえない、となると、ほとんどの人が今日もらうことを選択する方向に傾くことになる。

「先ほどのような提示を聞いた社員は、『来月になったら本当に何ももらえないだろうか』などと頭の中で思いを巡らすでしょう。そのような話し合いの結果、『やはり退職勧奨に応じよう』という結論に達する人が多いのです。ただし、期限を決めた以上は会社も期限を守らないといけません。だらだら期限を延期するのはいけません」

ちなみに、この「締め切りを設定する」ことは違法ではない。割り増しのお金を積むものの、それにより要らぬトラブルを回避し、時間と労力を減らすことができる立派な知恵なのだ。

関連記事
なぜ企業は社員を簡単に「クビ」にしたがるのか
優しすぎる上司がもたらす恐るべきリスク
やる気なき管理部門に喝を入れる法
部下を思い通りに動かす「老獪」8
使えない「下位10%社員」をリストラするか、人材教育するか