甘い炭酸1.5リットルに含まれる糖分量はスティックシュガー約50本分

そこで、健康に敏感な人の中には、「糖分は取りたくないけど、甘い飲み物は飲みたい」、「アスパルテームのような人工甘味料なら甘くても太らない」と考える人もいます。

でも、その考えは甘いようです。いろいろな疫学研究で、人工甘味料の肥満予防・改善の効果は、短期間では認められるものの、長期間になるとあまり期待できないことが報告されています。

アメリカのスーパーで目撃3:「水分補給」とはいえ、離乳食売り場にも甘いジュースが勢ぞろい(上から3段目)。人工的な「青色」をし、ビタミンやミネラルが添加された、「スポーツ飲料」の赤ちゃんバージョンです。人工的過ぎて、ショックでした。

長期間で効果が期待できない理由は「人工甘味料はカロリーが無いので、他の食べ物をたくさん食べても大丈夫」という、妙な安心感が、結果的に食べ過ぎを招くためのようです。

甘い飲み物や菓子類は食生活の楽しみでもあります。でも、楽しみとして許されるエネルギー量の目安は1日200kcal以下(厚生労働省「食事バランスガイド」)。もし、菓子類を全く食べずに甘いジュースだけ飲むのなら、糖分の量はスティックシュガー16.6本分(50g)以下です。

甘い清涼飲料水を飲む時には、目に見えない糖分をしっかり見て、食事全体の中でのバランスを考えて、飲む量に気を付けながら楽しみましょう。

▼ウォッチ(2)“お相撲さん級”の肥満

「太った」、「痩せた」という話になると必ず登場するのが「BMI」。BMI(Body Mass Index)は国際的に通用する指数で、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出されます。「肥満」の判定基準は、日本では25以上、アメリカでは30以上です。日本の基準でみると、肥満者の割合は、日本では24%、アメリカがその3倍近い69%です。

実は、アメリカ人が清涼飲料水から摂る糖分の量は、少なく見積もっても日本人の5倍以上の多さです。「肥満の元凶は糖分の取り過ぎ」がアメリカでは強く認識されています。実際に、今年末に公表される“アメリカ版食事摂取基準2015”には「甘い飲み物などから摂る糖分を減らすこと」が具体的な数値目標と共に盛り込まれるようです。

アメリカの肥満者の割合をみて「世の中には、お仲間がたくさんいる」と安心感を覚えた人は、「次は我が身」と気持ちをひき締め、糖分を取り過ぎていないかを考えてみましょう。

▼ウォッチ(3)日本人と清涼飲料水

日米の買い物カゴの中身を観察して、日本人の糖分の摂取量がアメリカ人の1/5以下である理由には、主に2つの事が大きく貢献している気がします。

1つめは、甘味の無い緑茶を飲む習慣が日本人に定着していること。現在、日本で売られている清涼飲料水の4割近くが甘味の無い緑茶やウーロン茶、水です(全国清涼飲料工業会統計資料)。

2つめは、日本では、アメリカで見たような特大サイズの甘い清涼飲料水が売られていないことです。目の前に食べ物や飲み物があれば、ついつい口に入れてしまうパターンは誰しも同じです。ましてや“甘いものは別腹”ですから、なおさらです。

日本のスーパーで見かけた娘さんが、甘い炭酸飲料1.5リットルに含まれる糖分の量がスティックシュガー約50本分と、思いもかけない多さであることに気づき、(1)甘味の無い緑茶や水を飲む習慣を大切にすること、(2)甘い清涼飲料水を選ぶ時には小さなサイズにすること、(3)母親になった時に自分の子供にむやみやたらに甘い飲み物を与えないこと、をオバサンは切に願っています。

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