高齢者の不安や欲を「逆利用」して稼ぐ

こうした詐欺の手口を見ていると、ワルたちは時間の扱いが極めてうまいことがわかる。

ワルは時流に乗って、今後、起こるであろうことを予測し、すばやい行動をとる。今回の件でいえば、報道で流出事件を知った多くの高齢者などが、もしかすると自分の情報が漏れているかもしれない、そうすればどこかの“誰か”からその旨を知らせる連絡がくるかもしれない、と不安を抱いている。ワルは前出の高齢者が抱いた警戒心を、巧みに逆利用することで詐欺行為を行うことがしばしばある。

似た手口にロト6詐欺がある。

「(公式発表前に)当たり番号が分かっている」と嘘をついて、事前に情報料金を騙し取るものだ。新聞をみると、当選番号覧に「抽選結果は、掲載の前日の夜に発表されている」とある。つまり、その新聞が印刷され、朝、自宅に届く前夜にはすでにネットなどで公式発表されていますと、主催者などは詐欺への警戒を呼びかけている。

ワルたちは、こうした仕組みに詳しくない多くの高齢者宅に、ネットで当選番号が判明した時点で電話して当選番号を伝え、翌日の新聞でそれが的中していることを確認させて、「この業者なら、本当にロト6の当選番号の情報が入手できる」と信じさせている。

この詐欺ではネットで知った情報を、いわば早送りをして、高齢者に電話で伝えることで、詐欺行為をしている。ワルたちは「情報」を共有している人々を言葉巧みに操り、その弱みや不安、少しでも儲けたいというに欲に付け込み、ちゃっかり稼ぐのである。

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