仮説も検証もすべては現場に
伊藤忠商事社長 岡藤正広氏●1949年、大阪府生まれ。東京大学卒業。74年伊藤忠商事入社。繊維カンパニープレジデントなどを経て、2006年専務に就任。10年社長に就任。
「現場が大事」という信念を持つようになったのは、ある経験が原点にあります。入社したての頃、英国の毛織物など紳士用の仕立生地を輸入する部署にいた。当時は英国物の毛織物というのが高級品の代名詞でしたが、英国の毛織物メーカーには非常に硬い名前のものが多かった。
そこで、もっと売るために何かできないかと考える日々でした。そんなとき、帝国ホテルで銀座の英國屋の展示会があって、そこで見た光景でひらめくものがあった。
紳士用のスーツを買うのは男性ばかりと思っていたが、男性客はテーブルに座って営業マンと話している。そこへ奥さんやお嬢さんが生地のサンプルを見せに来る。それを見て、実際のスーツ選びの決定権は女性にあることがわかった。選んでいるのは男性という先入観があって、生地はグレーも紺もほとんどが無地でした。これは堅苦しい名前よりも、女性が好む名前を付ければもっと売れるに違いないと思った。
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(小宮一慶=総括、分析・解説)

