この作業のおかげで、私は気がつきました。人生は、けっこうシンプルに流れるものなのだと。自分の記憶のなかで考えているときには、私の人生には実にさまざまな辛い思い、いやな記憶が満ちている、と漠然と、思いこんでいました。
けれども書き出してみると、ああなって、こうなって、こうなった。なあんだ、それだけか。というわけです。なにごとも因果応報。よこしまな思いで行ったことの結果は、それなりに終わっていることもわかりました。じゃあ、これからはよいことを、よい思いをもって行えば、そう悪いことにはならないんじゃないの、身体も心持ちも、よくなっていくばかりなんじゃないの、と思えたりするわけです。
このように、「がんの余命宣告」という窮地から立ち直った人々の語りから得た、具体的な「実践のステップ」が、本書には満載されています。病む方のみならず健康に不安を抱える方にとっても、心を軽くするために、ぜひご一読をおすすめいたします。
※この記事は2014年12月27日掲載「ふくしまニュースリリース」の連載コラムを著者と媒体運営会社、ライクス(http://www.like-s.jp)の許可を得て転載したものです。
1967年奈良県生まれ。東京外国語大学中国語学科を卒業後、新聞記者を経て99年よりフリーに。2010年8月に『ガサコ伝説『百恵の時代』の仕掛人」(新潮社)を刊行、10月よりシアトル在住。2013年からは日本とシアトルを行き来しながら取材執筆を続けている。