その実例として、堀江さんは、ある人の名を挙げた。その方は、ある外国に行って大成功したのだが、きっかけは、本人の「勘違い」なのだという。しかも、成功した理由も、たまたま幸運が重なって大当たりしてしまっただけだと堀江さんは言う。
実際には、それなりの苦労や、工夫があったのだろうけれども、確かに、堀江さんの言うような側面もあるように、私は思う。
スティーヴ・ジョブズ氏が、スタンフォード大学の卒業式のスピーチで語った「愚かであれ」(stay foolish)という言葉は、つまり、「行動する愚かな者であれ」ということだろう。その意味では、堀江さんの言っていることと、ジョブズ氏が言っていることは、図らずも一致している。
世間を見ると、学校の成績がよかったとか、知識があるとかそういう人に限って、実際に試す前に見切った気になってしまって、行動しないことが多い。それでは、成功はおぼつかないだろう。
また、逆に、自分は頭がよくないからと、あるいは努力なんかできないと、最初から諦めてしまっている若者にも、ときどき出会う。もったいないことだと思う。
おっちょこちょいでも成功することがある。そのことを伝えるために、あえて、ものすごい努力家であることを隠している堀江さんは、案外いい人なのではないか。
ただ、もう少し、頑張っているところも見せたほうが、堀江さんを好きになる人がもっと増えるのではないかと、友人としては心配するのである。