それでは脱原発でクリーンエネルギーを推進する経済大国ドイツの現状はどうなのだろうか。東京電力の原子力改革監視委員会の副委員長を務めるバーバラ・ジャッジ氏(UKAEA名誉会長)はヨーロッパのエネルギー政策について実情を語る。

「福島の事故後に脱原発宣言をおこなったドイツは、自国の経済において大きなダメージを負うこととなりました。ドイツは本来エネルギー源を他の国に頼りたくないと思っているのですが、原発による電力をフランスから買い、ロシアからガスを買っているのが現状です。脱原発によるギャップを再生エネルギーで埋めようとしていますが、そのコストは高く、電気料金が目に見えて上がっていることで国民の不満も膨らんでいます。エネルギー政策は機能不全の状態に陥っているのです。これはヨーロッパ全体において言えることで、エネルギー政策が国によってバラバラでかみ合っていないのが大きな課題となっています」

東日本大震災の原発事故への反省から、当時の政権は安全でエコのイメージが強い太陽光発電に多額の補助金をつけた。しかし、現政権下では、電力の自由化が進む一方で、太陽光発電の買取価格は低下の一途を辿っており、投資妙味は薄れつつある。

原発の再稼働については今後も非常にデリケートな問題であることには変わりないが、グーグルが原発開発に本格的に取り組むことになれば、エネルギー業界の風向きも大きく変わるのは間違いない。

(撮影=奥谷 宏)
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