同居するなら知り合いの同性と
「セクハラするような人には、シェアハウスから出ていってほしい」と思っても、入居契約は当人と家主の間で結ばれたものなので、第三者である被害者がその契約の解除を求めることはできません。家主といえども、入居時の賃貸借契約書に「風紀を乱す行為を行った場合、契約を解除する」といった条項がない限り、加害者に退去を求めることはできないのです。
被害を受けてからでは有効な対処ができないので、未然に防ぐことが肝心です。望ましいのは、初めから男性と同居などしないこと。2DKなど本来は一戸の物件を、2人以上でシェアするというスタイルは、昔からあります。一人暮らしがさびしいなら、男女混合のシェアハウスよりも、そうした形で知り合いの女性と同居するほうが安全です。
シェアハウスに入るにしても、最低限、個室とトイレ、シャワールームに鍵がついている物件を選びましょう。もし、今住んでいるシェアハウスの個室やシャワールームに鍵がついていなかったら、つけてもらうよう家主に要求してください。それもしてくれないようなら、退去して鍵つきの物件に移ることをお勧めします。
たとえ女性だけでシェアしている場合でも、個室の鍵は絶対に必要です。窃盗の被害に遭う可能性があるからです。気づいて抗議しても「ちょっと借りようと思った」と言われれば、どうにもなりません。
他人、特に異性と共同生活をすることには、難しい問題がたくさんあります。もし娘さんがシェアハウスに入居中ならば、以上の事実を伝え、少しでも安全な道を採るよう説得してはどうでしょうか。
堀 晴美(ほり・はるみ)
堀国際企業法務法律事務所代表。1985年、東京大学法学部卒。東京法務局訟務検事、千葉・静岡地方裁判所裁判官などを経て現職。