パナソニックはデザイナーを募集
だが、簡単には普及しない。最初の2年間は毎月10万円程度の売上だった。秋好はその間、何度もやめようと思ったという。
そのうち、少しずつ実績が上がり、クライアントと登録ランサーの数が増えていった。だが、そこで困った問題が起きた。発注価格をクライアントに任せていたら、次第に単価が下がり、ランサーにとって割に合わない仕事が増えてきたのだ。
秋好は悩んだ末に、09年、「最低価格制度」を導入した。案件ごとの最低価格を決めたのだ。これによって、依頼案件は5分の1に減ったが、ランサーは安心して働けるようになり、仕事の質が向上、依頼件数も徐々に戻っていった。
秋好はクライアントへの営業活動は特に行わなかった。それよりも、ランサーが働ける環境を整備した。ランサーズにいいクリエイターが集まることで、依頼は自然に増加していった。
2013年からは大手メーカーもランサーズを活用し始め、パナソニックはデジタルカメラのデザインをランサーズから募集した。その後もランサーと企業のコラボ商品が増えている。
秋好は2020年頃までにはランサーズで生活できるランサーを1000万人程度に増やしたいと言う。秋好が蒔いた「ランサー」という新しい労働スタイルの種が芽吹こうとしている。(文中敬称略)
●代表者:秋好陽介
●創設:2008年
●業種:クラウドソーシング事業
●従業員:50名
●年商:非公開
●本社:東京都渋谷区
●ホームページ:http://www.lancers.co.jp/