理由はふたつある。ひとつは話をよく聞いてツボをおさえて答えているから、ボリュームが少なくても印象的な会話ができたこと。もうひとつは相手が心を開いているため、「面白い」のハードルが下がったこと。
「社員と個人面談をするときも、できるだけ相手の話を聞くようにしています。落ちこんでる社員には、モヤモヤを全部吐かせる。スッキリした心持ちになれば余裕も生まれて、こっちの話も響く。自分のしたい話だけしていたら、ウケません!」
ちなみに上田氏は奥さんの話もよく聞くという。
「ありったけ聞いています。『どうした、もう話はないのか?』と聞いて、『何よ! その言い方』って怒られています。2人で酒を飲みながら話すようになったら、困ったことに、女房が酒豪になっちゃって」
自分のドジを強調し、人の話をひたすら聞き、最後にオチまでつける。このサービス精神こそ人の心に入る技なのだろう。
1946年、秋田県出身。山形大学文理学部卒業後、伊藤忠商事入社。2002年ファミリーマート社長に就任。13年より現職。