Case1.初対面の相手に話しかける
当たり障りなく天気の話をするのもいいが、それでは印象が弱くなる。好印象を与える秘策はあるか?
雑談で一番困るのが、話題の選び方。特に初対面の相手の場合、どうしていいのかわからず、気まずい沈黙の時間が訪れる。
アサヒビールの伊藤さんは「出身地の話などが多いですね。それから地元の話題ですね。広島といえばカープ。基本的にカープが嫌いな人はいませんから。こういう地元に根ざしたネタは、しっかりと勉強しておく価値がありますね。広島ではカープの話はプラスに働くことが多いので、通り一遍の情報だけでなく選手の個人情報も収集する。今日も一日、カープの話をしてきました」と笑う。
前任地の山口ではさすがにカープネタは通じない。おいしい店など地元情報が多かったと言う。
「先日、○○に初めて行ったんですが、おいしかったですよ」
「ああ、私もよく行きますよ」
「そうですか、イタリアン好きなんですね。私もなんですよ」
というふうに共通項を掘り出すことができる。共通項が見つかれば、話は広がりやすいし、賛同も得やすくなる。
「例えば相手が鹿児島出身と知ったら、『AKB48で僕が一番可愛いと思う子も鹿児島です。鹿児島は美しい方が多い』と言えば、間は確実に持つ」(商社営業・34歳)という強者もいる。
出身地をほめられて相手も悪い気はしないし、こちらが鹿児島に不案内でも怪しくはない。ついでに、おいしい食べ物や同郷の有名人などを聞けば話は広がる。理やりでっち上げたウソはあまりほめられたものではないが、わずかでも共通項があれば話はつながるのだ。
放送作家の田中さんも共通項探しをするが、ちょっとしたことに共感を得るだけでも意味があるという。
「『今日は雨の予報だったので傘を持ってきたのに晴れてますね』などと口にすれば、『ああ、私もなんですよ』と返してくれるかもしれません。そういう小さな共感を積み重ねていくと、お互いに気持ちが同じ方向を向くようになる。その流れに乗って本題につなげていくのも手」