米国ベンチャー企業の必達条件は「週5%成長」
「人」といっても、人柄ややる気を見るわけではない。エンジェルたちが最も重視するのは、その人が持つ“ネットワーク力”だ。どれだけよい人的ネットワークを持っているかどうかで事業の成否が大きく左右されるからだ。一番わかりやすいのは誰の紹介で自分を訪ねてきたか。エンジェル自身が信頼する人の紹介で訪ねてきたのなら、それだけでよいネットワークを持っていると判断される。
「人」を見るときのもう一つのポイントが、その人物の“ヒストリー”だ。具体的にいうと、起業家が過去においてどのような職歴、起業歴があり、どのような人たちと何をしてきたかという経歴、職歴である。だからシリコンバレーでは、能力・適性、実績などを含めて前職の上司や同僚、人事担当者などに照会するリファレンス・システムを活用して、その人物のヒストリーがチェックされる。
もう一つの重要なファクターは「成長スピード」だが、求められるスピードが日本で考えるよりもケタ外れに速い。
「これはクラウドやモバイルに限った話ですけども、この分野は週に5%成長していないともうダメで、10%成長して、やっと素晴らしいと評価されるような世界です」と外村氏はいう。週5%、10%というのはもちろん売上高ではなく、月1~2回ログインするアクティブ・ユーザー数のことである。
「世界中のユーザーを相手にできるサービス、世界中のユーザーが必要としているサービスでなければ週5%、週10%といった成長率は持続できない。その2つの条件を満たしていなければ投資はしないということです」と外村氏はいう。非常にシンプルでわかりやすい判断基準だが、それだけに逆に厳しい条件だともいえる。