だから人心掌握できた
黒田官兵衛の残した「名言」
「義にありて命を惜しむべきにあらず」
義とは、儒教が説く人の守るべき五つの道である五常の一つで、人が行うべき正しい道のこと。義の立て方は人それぞれで義の意味を人と共有するのは難しい。他人は自分の立てる義を義でないと謗ることもあるが、いったん自分で義を立てたら、その義の旗を立て続けるために命を惜しんではならぬという官兵衛の信条。揺るぎない覚悟こそが大切だということ(黒田家譜)
「武勤を専らにして一人の働をつとむるは匹夫の勇なり、国主武将の武道にあらず」
国を持つ将(国主武将)の心得について述べた言葉の一部。武芸をもてはやし、いかつくあろうとしてはいけない。むしろ、戦の道をよく知り、常に乱を静めるための知恵をめぐらし、油断なく士卒を訓練し、士卒への恩賞・罰を正当に行って平和なときに乱を忘れぬよう備えることこそが、将が行う武の道だ(黒田家譜)
「草履片々、木履片々」
機をとらえて飛び込む勇気を持つことの大切さを述べた言葉。人生には思い切って博打を打つべきときがある。ピンチも逆にチャンスになりえる。片足に草履、片足に下駄という分別を欠いた姿勢で歩くように、常識にとらわれず、物事の潮目を読んで博打を打つことを、息子・長政などに語っている(常山紀談)
1956年、新潟県生まれ。早稲田大学卒業後、出版社勤務を経て88年『花月秘挙行』で作家デビュー。作品に、NHK大河ドラマ原作の『天地人』、竹中半兵衛と黒田官兵衛を描いた『軍師の門』、徳川家康家臣団を描いた『常在戦場 家康家臣列伝』など多数。