STEP3 脳をだまそう ガッツポーズでやる気アップ

もう1つ、行動でやる気を出す方法があります。それが「やる気のあるポーズを取る」というもの。

社会心理学者のエイミー・ガディは、被験者に2分間、強いポーズを取らせた場合と、弱いポーズを取らせた場合、脳内物質にどのような変化があるか調べました。

すると、強いポーズを取った場合、テストステロンの値が上昇し、コルチゾールが激減することがわかりました。先ほど、テストステロンは性衝動を高めると説明しましたが、勇気がある行動を促すという働きもあります。そして、女性にも分泌されます。

この実験から言えることは、やる気のあるポーズを取るだけで、人の脳内にはやる気が出るホルモンが分泌されるということ。これは人間の脳が、「いま自分がどんな姿勢をしているか」「どんな表情をしているか」といった身体情報のフィードバックを受けて、自分の状況判断をしているからだといわれています。人は気分が良ければ笑います。逆に気分が良くなくても笑っていれば、「気分がいいんだ」と脳はだまされるのです。

やる気がないときは、きっと姿勢も悪くうなだれているはずです。そんなときは姿勢を正すだけでも効果的です。それから、親はいつも笑いかけてあげる。するとミラーニューロンの働きで、お子さん自身が笑顔になったように感じて、気分も上向きます。

最後に、それでもお子さんに雑念があって勉強に集中できない場合の対処法を紹介しましょう。頭の中で音楽が流れて、止まらないときがありますよね。これは、ワーキングメモリーの中にゴミが残っている状態。一掃するには、適度なレベルのパズルが有効です。

たとえば、「竹やぶ焼けた」など、前から読んでも後ろから読んでも同じ文章になる回文を考えてみる。縦横にクロスした碁盤の目の中に単語を入れていくクロスワードもオススメです。頭がスッキリするので、ぜひ、教えてあげてくださいね。

中野信子
脳科学者、認知科学者。
横浜市立大学客員准教授、東日本国際大学客員教授。『脳内麻薬─人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体』など著書多数。
(浦野 喬=文)
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