最良予測は1万8000円。円安株高をもたらす好材料
【永濱】このあたりは、私たちの間でそこまで大差ない共通のメーンシナリオでしょうか。この流れでいけば、年末には1万7000円前後まで届くと予想していますが、いかがですか?
【武内】私はもう少し控えめに、年明けと同じ1万6000円程度で終わるんじゃないかと思っています。
【高橋】最良の場合はどうですか? アメリカ経済が順調に回復し、法人税減税やGPIFなどの政策実現性が見えてきて、海外投資家からの評価が高まれば、1万7500円程度までいくんじゃないかと思いますが。
【永濱】意外と手堅いところですね。証券会社さんはもっと高値予想かと思ってました(笑)。これまで挙げてきた好材料がそろって日本経済にいい影響を与えた場合、私の最良予測は1万8000円。来年以降の日銀の追加緩和が見えてくれば、これくらいまで上がることもあると思いますよ。
【武内】もし年内に追加緩和が行われれば、もっと早く円安が進みますからね。私は、春闘でベアが復活した点にも期待しています。賃金の引き上げが大企業だけでなく中小企業にも広がれば、日本全体での消費力が上がり、日本経済にもいい影響があります。アベノミクス効果で消費者のマインドも改善されていますから、上がったぶんはストレートに消費に回るんじゃないでしょうか。ということで、最良予測は高橋さんと同じ1万7500円。期待を込めてはいますが、現実的にも無理のない予測だと思います。
【永濱】問題は最悪予測ですね。見通しは明るいものの、懸念材料は少なくない日本経済の現状を見ると。
【武内】主に私が懸念しているのは、「中国の景気の失速」、イラクの地政学リスクによる「原油価格の上昇」「アメリカ経済の先行き」です。昔はアメリカ経済によって世界経済が左右されるところが大きかったのですが、現在の中国の力を考えれば、中国経済の落ち込みによって世界中が悪影響を受けるのは当然の流れ。中国政府は現在、非常に微妙な舵取りをしています。バブルを崩壊させないよう緩やかに減速させる政策をとったり、4月からはまた景気刺激策をとって回復させたりしていますが、不安定な状況であることは否めません。不動産市場の悪化などをきっかけに、下半期に景気が大幅に鈍化するということもありえます。