寺井秀藏●1949年、京都府生まれ。芦屋デザイナー学院服装本科を中退後、ワールド入社。取締役ドルチェ部長、常務取締役、新業態事業部長などを経て、97年から社長。

一期だけのB/S、P/Lの数字を上げるのは、決して難しいことではありません。利益が経費と粗利のバランスによって決定される以上、粗利が上がる業務改善の仕組みをつくり、経費が粗利を超えないようにすればいいというだけのことです。そうすれば確実に数字は上がる。ですが、そうやって一期一期の数字を合わせていくことが、安定した収益を長期的、持続的に確保することに結びつくかというと、必ずしもそうではないのです。

また本来は企業価値=株主価値であるはずが、現状の認識は違っていて、株価が企業価値をはかる物差しであるかのような判断基準がまかり通っていますよね。こうしたさまざまな要素が違和感となってくすぶるようになってしまった。その違和感が、会議を繰り返すうち、次第にあぶり出されてくるわけです。会社とは何だろう、事業とは何だろうと青臭く愚直に突き詰めて、この違和感を解消しようと考えた結果、株式非公開という結論があぶり出されてきた。

(総括、分析・解説=楠木 建 構成=小川 剛)
【関連記事】
何が本当の常識なのかよく考えて行動すべし -三井不動産会長 岩沙弘道氏
世界攻略のカギは「質のいい非常識」にあり -DeNA創業者 南場智子氏
現場・現物・現実に接して発想する -ニトリ社長 似鳥昭雄氏
チャンスを掴むカギは大局観、触覚、得意分野 -オリックス会長 宮内義彦氏
「競争嫌い」で年商1000億円【1】 -対談:スタートトゥデイ社長 前澤友作×田原総一朗