優秀な人材を確保しておくために、あるいは呼び込むためにマネジャークラス以上の報酬を高くしておくのがアメリカ企業の常道だ。

イギリスもアメリカンスタンダードに追従しないと優秀なイギリス人を全部持っていかれるということで、給与体系はアメリカにきわめて近い。またドイツは長らく日本に似た給与システムだったが、ドイツ企業が買収などを通じてアメリカに大規模な事業展開をするようになってからは、アメリカの給与システムに引っ張られて管理職以上の給料が高くなった。

韓国はチェボル(財閥)系企業の給料が図抜けて高い。代表格がサムスンで、年収3億、4億円という管理職がざらにいる。

中国は経済成長とともに労働者の賃金が上昇してきて、かつては月収1万円程度だったブルーカラーが今や5万円を超えてきている。ホワイトカラーの管理職のアップ率はそれ以上で、10年前と比べると10倍以上になっている。

私は中国でBPO(業務プロセスの一部を継続的に外部の専門的な企業に委託すること)の会社を経営してきたので、そのあたりの事情はよくわかっている。

この10年で、中国人の給料に対する期待値は限りなく高まっていて、たとえば年収300万円程度のマネジャーが家や新車をポンと買ってしまう。彼らは昇進と昇給、給料が毎年15%以上アップする前提で生活を組み立てているのだ。

そんな連中を部長にでもしようものなら、今度は「車を付けてくれ」「運転手を付けてくれ」と平気で言ってくる。たとえば、「清華大学を出た私のクラスメートは皆運転手付きだ。私だけ自分で運転しているので恥ずかしい」。

こんなことを言う中国人は、10年前は皆無だった。