アイデアの必要条件が見つかる「戦略的フレームワーク」

2つ目は、考えるべきアイデアの必要条件を導き出す“戦略的フレームワーク”だ。目的→戦略→戦術の順に考えていくことで、自動的に“戦略=必要条件”、“戦術=アイデアそのもの”ということになる。

森岡のUSJでの仕事に当てはめてみると、彼が入社して最初に行ったのは、さまざまな市場データや経営資料、競合各社の実証データから、USJがどの程度まで集客を伸ばせるか考えることだった。その結果、目的を「1000万人の年間集客を安定して達成すること」と設定。

次に、目的を達成するために経営資源を何に集中させるかを検討。“大人向けのテーマパーク”というイメージからターゲットが不必要に狭くなっている状況に気づき、戦略を「小さな子連れファミリーを獲得すること」とした。

さらに、その大きな必要条件(戦略)を噛み砕き、

●「USJは小さな子ども連れは楽しめない」という消費者のイメージを覆すもの
●数割増えるであろう集客に十分な収容キャパがあるもの
●設備投資資金の予算内で実現できるもの
●既存資産との相乗効果で経営効率を高められるもの

スパイダーマンのアトラクションのテコ入れも成功し、来場者数は増え続けた。

と具体的に定義。そこまで絞り込んだ上で、必要条件を満たすアイデアを発想していき、子供のいる家族が1日いても楽しめる新エリア「ユニバーサル・ワンダーランド」を建設すると決めたのである。

「アイデア(戦術)を考える前に、必要条件(戦略)を考えることが大事ですが、より革新的なフレームワーク思考をするためには、必要条件(戦略)の前に、仕事の目的(最上位の命題)は何なのかを紙に書いてみるといい」(同)

こうしたフレームワーク思考に不慣れな向きも、少しずつ習慣化することで、今までよりも数段効率よく、論理的にアイデア探しができるかもしれないのだ。