後は担当営業マンがどれだけ戦略を立ててくれるかどうかだ。ちらしや広告のポスティング、ホームページ掲載など物件に合わせていろいろな戦略が考えられる。

最終的には複数業者に「査定」を出してもらい検討する。が、査定価格が高い業者が高く売ってくれるわけではない。「少しでも高く」という売り手の気持ちにつけこんで、媒介契約を締結しようと非現実的な価格をつけてくる業者がいるのだ。車の査定と違い、家は業者が買うわけではない。私が売り手なら一番高い査定を出してきたところは即、検討対象から外す。適正価格はどの業者でもわかっているので、どのみち値引きせざるをえないからだ。結局、「売り主が売りたい価格」と実際に「売れる」価格とには決定的に乖離がある。

依頼する業者が決まったら、売却委任契約を締結することになるが、大きく分けて「一般媒介契約」と「専任媒介契約」の2つがある。前者は複数業者と契約を締結できるため、業者にとって旨みが少ない。後者は一社のみとの単独契約になるため、良心的な業者であれば「専任媒介契約」にしたほうがより予算も使えるし、熱心に取り組んでもらえるだろう。

実際の売却プロセスは、営業マンに物件を見てもらうことから始まる。壊れたり汚れたりした部分も隠さず見てもらうこと。

売る前にリフォームすべきかどうかは状況によるので、相談してから決めればよい。ただ、台所や洗面所、風呂場など水回りを中心に、できる範囲の掃除はしておくこと。内覧は突然入る場合があるので売却期間は整理整頓、不要物の撤去など心掛けておくべき。今、マイホームを買うとき、主導権は妻が握っていることが多い。女性の目で厳しくチェックされることを頭に入れておきたい。

経済的に可能なら、売る前に近くの賃貸に住み替えるのがベスト。買い手も気軽に見学でき、先住者の生活感なしに、新しい生活を想像できるからだ。

(構成=プレジデント編集部)