このタイプに就いたら、時にはこちらがイレギュラーな行動をとって、上司の「あったらいいな」の部分を引き出してあげてもいいでしょう。たとえば、いつも朝はコーヒーを飲む上司に、「お客様からチョコレートをいただいたんですけど、召し上がりますか?」と聞いてみるのです。気遣いの人でもあるので、とりあえずは「うん、ありがとう」と返事をするはずです。そうは言ったものの、長い時間チョコレートが机の上に置かれたままなら、「本当はいらなかったんだな」と理解して、翌日からはいつも通りコーヒーだけお出しするようにしましょう。逆に、すぐにペロリと食べたなら、「意外と甘い物は好きなのだな。朝のコーヒーにお菓子を添える日があってもいいかも」と考えて、時折実践してみるのです。神経質な上司は、必要最低限のことしか言わないので、仕事と直接関係のない部分に関しては、特に情報が少ないもの。変則的な質問が、上司が「嬉しいと思うこと」「楽しいと感じること」を知るきっかけになるのです。

コミュニケーションが取りづらく、きめ細やかな心配りが求められる上司は、秘書としてもっとも大変な相手かもしれません。しかし、こちらの働きをきちんと見ていて、1番フェアな評価をしてくれるのもこのタイプです。「しっかりしているな」と認めてもらえるよう、上司にとって快適な環境づくりに努めましょう。

日本一のプロ秘書が教える「一流のおシゴト」
上司が席を外した際に、時にはデスク周りを観察してみる

カレーハウスCoCo壱番屋(株式会社壱番屋)創業者(宗次夫妻)秘書
中村由美

コンサルタント会社の社長秘書を経た後、当時まだ100店舗の中堅企業だった株式会社壱番屋に入社。秘書の経験を買われ、社長秘書に任命される。急成長の壱番屋において創業者・宗次徳二氏をはじめ、3代の社長に仕え、トップの側で上場も経験する。中小企業の秘書実務と上場企業の秘書実務の両方を知る数少ない人物。日本秘書協会(元)理事、ベスト・セクレタリー、日本秘書クラブ東海支部(元)役員、秘書技能指導者認定、サービス接遇指導者認定。
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