上司に媚びてでも早く出世せよ
先日、早稲田大学ビジネススクールの遠藤ゼミのある卒業生から相談を受けた。彼は一部上場企業で課長職に就いているのだが、どうも上司とそりが合わないというのだ。彼は能力が高く、やる気もあり、新しいことに挑戦したいのだが、上司である部長は新しいことにはとても慎重で、やりたいことができず、不満を抱えていた。
一通り話を聞いた後、私は彼にこう諭した。「嫌いな上司でもうまく付き合え。割り切って、上司に媚びてでも早く出世しろ。出世すれば好きなことができるようになる」。
彼は優秀だが、不満が顔に表れるタイプだ。いくら能力が高く、実績をつくっても、上司に気に入られなければ、高い評価を得るのは難しい。それが現実だ。
サラリーマンは上司を選ぶことはできない。ならば、現実を受け入れ、たとえ上司に媚びてでも、早く出世する道を選ぶしかない。
口ではそういうものの、これが簡単ではないことは私自身が一番よく知っている。私は大学を卒業して、大手電機メーカーに就職し、約10年勤務した。今振り返れば、当時の私は鼻もちならない嫌な若造だった。
若いなりの野心は持っていたが、それが組織の中で通らず、実現できないことも多かった。そして、それを上司である課長や部長の無能さに帰結させていた。
当時の上司は私のことをどう思っていただろう。おそらくやる気のある奴だとは思っていても、お気に入りの部下ではなかっただろう。私自身が何も変えることなくあのまま会社に残っていたとしても、おそらく大した出世はしなかっただろう。だとすれば、その会社でやりがいある仕事に出合える可能性は低かったと思っている。