欧米の消費低下は、輸出大国である日本はもちろん、中国、インドなどの新興国の企業業績にも影響する。
すでに輸出産業は厳しい局面にある。自動車を例にしても、国内では高齢化により運転する人口が減っていくうえ、若者のクルマ離れに歯止めがかかっていない。外需が弱含みになると、たちまち影響が出る。外需頼みで、内需活性に繋がる政策を打ち出してこなかったツケが回ってきたということである。
2兆円規模の定額減税も検討されているが、景気後退で国民のサイフの紐は固くなっており、必ずしも消費に回るとは限らない。貸し剥がし、貸し渋りによる黒字倒産も懸念される。財政の問題はあるものの、設備投資がしやすくなるような施策を講じるなど、企業活動を活性化させる前向きな方策が効果的だと考えられる。中小企業に対する時限的な法人税軽減も、実現が望まれる。
直近に迫ったこの冬のボーナスは、残念ながら多くの人にとって期待しにくい水準になるだろう。定期昇給を抑え、業績をボーナスに反映させる傾向が強まっている分、景気が与えるボーナスへの影響は大きい。すでに来年度の採用人数を減らす企業も出ており、転職も厳しくなる。今年前半は原油高による値上げが「家計支出」を直撃したが、後半は「家計収入」に影響するといったところだ。
逆に考えれば、この混迷期は一発逆転の機会ともなる。業績悪化で仕入れ先を見直すことになる企業があれば、納入業者にとっては新規参入のチャンス。また中小企業にとっては優れた人材を確保できる可能性も出てくる。高騰していた原油の値下がりでガソリン価格が下がる、円高・ユーロ安でブランド品や高級時計、ワインなど欧州製品の価格が下げ兆候にあるなど、悪いことばかりではない。