環境革新企業からエコ&スマートへ

これまで触れてきたように、パナソニックは、「自動車関連事業」「住宅関連事業」を、中期的な成長戦略に位置づける。言い換えれば、パナソニックの成長は、「BtoB」が担うことを意味する。

(AP/AFLO=写真)

その一方、テレビ事業の赤字脱却を最優先の課題とするAVCネットワークス社でも、15年度の売上高1兆9800億円の計画のうち、BtoBで9700億円を計画する。“白物家電”を担当するアプライアンス社でも、15年度の売上高1兆6500億円のうち、4割強の7100億円をBtoBで構成している。さらに、アプライアンス社は、18年度、BtoBの比率を半分にまで引き上げ、利益のBtoB比率においては、全体の約6割に引き上げる考えだ。まさにパナソニックは全社を挙げて、BtoBへ舵を切ったといえる。

今年4月以降、津賀社長は、省エネ商品などBtoCのイメージが強く残る「環境革新企業」という言葉を使わなくなった。その代わりに、「エコ&スマート」という言葉を活用し、社会全体をビジネスのターゲットと捉え、BtoBを意識したイメージを大きく打ち出している。

「お客様からの逆算による成長戦略」

が、津賀社長が挑む中期経営計画の柱であるが、ここには、最終顧客だけでなく、「様々な産業のパートナーと一緒になって、お客様のいい暮らしを追求していく」というようにBtoBを基軸とする意味が込められている。

「様々なパートナーと“Engineering a Better World for you”(お客様1人ひとりの求める「より良い世界」の実現に貢献する)を実現する企業でありたい」

と津賀社長は言う。

プラズマテレビなどの投資で失敗し、赤字に陥ったパナソニックの現状を鑑みると、今後、パナソニックが、成長戦略の軸をBtoCではなく、BtoBに置くことは、しごく当然のことなのかもしれない。

(宇佐美雅浩=撮影 AP/AFLO=写真)
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