しかし、上司を変えることは難しい。上司が自らを省みて変わってくれることも期待できない。それなら、自分の考えを変え対処するしかありません。
能力がない上司は、部下に実績を上げられすぎると「自分の立場がない」と考える傾向があります。そうすると、資料の細かい部分を指摘して何度も再提出させるなど、部下の仕事の妨害をします。
そうさせないためには、まず上司の立場を立ててあげることが大事です。上司がこれまでどういう仕事のやり方をしてきたのかを周囲に聞き、それを踏まえたやり方に変えてみましょう。
第三者を介し、上司を褒めることも有効です。上司と関わっている取引先や先輩など同部署の人たちに、あえて「その上司がいかに素晴らしいか」を伝えるといいでしょう。こうした言葉はいずれ上司の耳に入ります。
どんな上司でも、まずその人を認めて、その指示を尊重する態度を見せましょう。指摘が細かい人には細かい仕事をする、報告しろとうるさい人にはこまめに報告する。そのうえで、うまく利用すればいいのです。
たとえば、どうしても商談の場に顔を出したがるけど、空気をぶち壊すような上司なら、準備をすべて整えて「もう契約書にハンコを押すだけ」という段になってから呼べばいい。バカな上司はそれだけで満足するものです。
間違っても上司の言うことを完全に無視してはいけません。バカな上司も使いよう、ですよ。
大学卒業後、トヨタホームに入社。4年連続トップ営業マンとなる。独立後、営業サポート・コンサルティングを設立。関東学園大学講師も務める。著書に『人は上司になるとバカになる』ほか。