■社会通念を疑う眼をもて
『ヤバい経済学』
スティーヴン・D・レヴィット、スティーヴン・J・ダブナー/東洋経済新報社
銃とプール、危ないのはどっち? 出会い系サイトの自己紹介はウソ? ウィキペディアは信頼できる? 若手経済学者が、身近な「ヤバい」事柄を題材に、経済学・統計学的手法を用いて、社会通念を覆すような分析を行ってみせる。世間一般に正しいと思われている情報も、実はあてにならないかもと気づかせてくれる本。
■経済活動の人間臭さを分析
『ダニエル・カーネマン 心理と経済を語る』
ダニエル・カーネマン/楽工社
行動経済学の創始者のノーベル経済学賞受賞記念講演録と自伝、論文を収録した松本氏イチオシの書。人は物事をどのように判断or認識しがちかということを、心理学的手法で分析する。儲けているときと損しているときでは価値の感じ方が違うことを説明したプロスペクト理論や、ヒューリスティック(簡便な意思決定)に付随しがちな判断や思考のバイアスの問題などは興味深く読めるはずだ。主義主張やイデオロギーの類が一切ない点も好感がもてる。情報の捉え方に関する右の2冊を読んだ後、この本で理解を深めるといい。
1963年、埼玉県生まれ。東京大学法学部卒業後、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券に入社。債券トレード、デリバティブ取引などに従事したのち、マネックス証券を設立。著書に『私の仕事術』、『この国を作り変えよう 日本を再生させる10の提言』(共著)などがある。