「認知症の約45%は、生活習慣の改善で予防可能」
65歳以上が総人口の約3割を占めている日本。2025年には65歳以上のうち約5人に1人が認知症になると推計され、認知症高齢者数は約471万人に上る見込みです。該当世代だけでなく、現役で働く人の中にも、「将来認知症になったら」と不安に思う人は多いです。
そんな中、認知症予防について大きな希望が持てるような最新の研究結果が報告されました。「認知症の約45%は、生活習慣の改善によって予防可能」であることが分かったのです。
7月に発表されたアメリカの大規模研究「US POINTER」試験(以下、最新大規模研究)。この研究では、60~79歳の健康な成人2000人以上を対象に、認知症予防のための生活習慣介入プログラムの効果が2年間にわたって調査されました。その結果は、私たち日本人にとっても非常に参考になると考えられますのでご紹介しましょう。
認知症は本当に予防できるのか?
長い間、認知症は老化現象として自然に生じるもので、仕方ないものだと考えられてきました。しかし、近年の研究によって、この常識は覆されてきています。
認知症の原因は主に2つに分けられます。
一つは脳内に異常なタンパク質が蓄積することで起こる神経変性疾患で、アルツハイマー病がその代表例です。もう一つは脳血管の動脈硬化により血流が障害されるもので、多くの場合、これらが複雑に組み合わさって認知症を発症します。
しかし、最近の研究成果によって、改善することが可能な認知症に関係する14の危険因子が同定されました。その因子とは……。
・教育不足
・頭部の外傷
・難聴
・うつ病
・高血圧
・糖尿病
・肥満
・運動不足
・喫煙
・過度の飲酒
・高コレステロール
・社会的孤立
・大気汚染への曝露
・視力低下
です。これらに対処することで、認知症の約45%が予防可能であることが明らかになったと報告されています。
実際に、複数の先進国で、教育水準の向上と高血圧などの心血管疾患の管理を改善することで、認知症発症率が近年減少傾向にあります。

